データヘルスの基盤となる「オンライン資格確認」が本格的に稼働するまで、1カ月を切った。病院などがこのシステムを導入すれば、対象の患者が医療保険を受給できるかどうかや、どの医療保険に加入しているかをマイナンバーカードのICチップなどで把握できるようになる。ただ、過大な見積額や費用の根拠が不明瞭なことなどがネックになり、現場での導入の準備が進んでいない。中には、見積もりを巡りシステムベンダーとトラブルが生じるケースもある。【松村秀士】
医療機関や薬局がこのシステムを導入すると、窓口業務の効率化も図れるほか、特定健診の結果や薬剤情報など患者一人一人の健康・医療分野のデータを他の医療機関や薬局と共有できるようになる。将来的にデータの蓄積が進み、裾野も広がれば、質の高い医療を効率的に提供できるようになると期待されている。
■カードリーダーの低調な申し込み数
国は、本格稼働の3月末時点で医療機関や薬局の約6割がオンライン資格確認システムを導入し、2023年3月末にはほぼ全ての施設がそれを済ませるという目標を掲げている。しかし、コロナ禍も影響し、現場での準備が芳しくない。
各施設がシステムを導入するには、マイナンバーカードを読み取るための「顔認証付きカードリーダー」を設置する必要がある。厚生労働省によると、2月7日時点でそれを申し込んだのは6万5,140施設で、対象の全施設の約29%にとどまっている。内訳は、病院3,150施設(全施設の約38%)、医科診療所 1万8,752施設(約21%)、薬局2万6,707施設(約45%)など。
■桁違いの金額設定も?
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