日本集中治療医学会、日本救急医学会、日本呼吸療法医学会の3学会合同による「日本COVID-19対策ECMOnet」(ECMOネット、https://www.ecmonet.jp/)は、国に先んじてCOVID-19重症患者の推移を一般公開し、各所で利活用が進む。
ECMOネット代表の竹田晋浩氏(かわぐち心臓呼吸器病院・理事長)、CRISIS(クライシス※)管理リーダーを務める橋本悟氏(京都府立医科大学附属病院集中治療部・部長)、大下慎一郎氏(広島大学病院救急集中治療科・准教授)、井上貴裕氏(千葉大学医学部附属病院・副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長)が、このデータ公開に至る経緯や、コロナ禍における集中治療の今について話し合った。【編集、齋藤栄子】
※横断的ICU情報探索システム(CRoss Icu Searchable Information System, 略称CRISIS, 非公開)。全国600以上の施設が参加し、ICUベッド80%をカバー(総ICUベッド数約5,500)。https://crisis.ecmonet.jp/ (公開データ・図表の著作権は日本COVID-19対策ECMOnetに帰属、無断使用不可)
対談はオンラインで2月1日に実施
井上(以下、敬称略):ECMOネットを立ち上げた経緯は。
竹田:2009年、H1N1インフルエンザ肺炎の感染拡大時に、日本で遅れていたECMO導入が必要だと気付いた。ECMO治療で実績を誇るスウェーデンのカロリンスカ大学病院・ECMOセンターで情報収集し、日本で普及させた経緯がある。ウイルス性肺炎による重症呼吸不全ではECMO治療の効果が高く、COVID-19においても有効なはずで、日本のECMO治療のまとめ役として有志に声を掛けたのが始まり。
ECMOネットとして、電話による24時間体制の治療相談や、ECMO治療患者の搬送などに取り組んだ。同時に、日本集中治療医学会でCOVID-19に特化した重症患者の登録をするというのをきっかけに、ECMOネットが主体となり、複数学会にまたがるデータベースとしてCRISISを構築した。
ECMOネット代表・竹田晋浩氏(かわぐち心臓呼吸器病院・理事長)
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