【株式会社ジャパンコンサルタント アンド メディカルサービス代表取締役 森清光】
緊急事態宣言が1カ月延長され、新型コロナウイルスに振り回される日常が続いています。東京などでは保健所調査対象が狭められつつも徐々に感染者数は減っています。
そのような中で、政府は2日に医療法改正案の閣議決定をしました。今回、新型コロナで病床確保に苦しんだ経緯から、都道府県策定の医療計画に「新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保について」が重点項目として盛り込まれるとともに、放置気味になっていた病院勤務医の長時間労働問題などがポイントとされています。
今後、医療計画に感染症病床の要件が追加されれば、都道府県は感染症病棟確保に躍起となります。病院はあらゆる場面でこれに応じるよう求められると予測されます。状況次第では、病院の施設基準においても感染症対策を前提とした基準が新設される可能性もあります。
次期医療計画である第8次医療計画は2024年からですが、策定作業は23年を待つことなく昨今の状況を分析して進めるように検討会で提言されており、今後、建て替えなどを検討されている病院は状況を見ながら計画する、または前倒しして影響が少ないうちに実施するなどの検討も大切です。
資料 第23 回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会(21年2月3日開催)
参考資料2 「新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた今後の医療提供体制の構築に向けた考え方」(20年12月医療計画の見直し等に関する検討会)
厚労省ホームページより(https://www.mhlw.go.jp/content/10802000/000732298.pdf)
「病院報告(令和2年10月分)」が2月5日に公表されました。1日平均在院患者数や月末病床利用率は、新型コロナ前に比べて落ち込んだ状況はまだ続いていますが、1日平均外来患者数は例年に近い水準まで戻りつつあります。
ある医療経営分析担当者の話では、昨年の緊急事態宣言時は全ての医療機関で売り上げが減少しましたが、解除後は施設ごとの対応によって経営状態が大きく変わっているそうです。特に、感染症対策を早期に実施し、外来・手術数を回復している病院と、厳格に対応するために外来・手術を抑制していた病院ではかなりの差が出ているそうです。また、薬剤指導や栄養指導の実施も感染対策で抑制されたため、通常時の3割程度に落ち込んだ状態が続いているデータも見られるとのことです。
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