【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■限られた医療資源を活用する上で「病床の高回転化」は重要な方向性
急性期病床の高回転化が進んでいる。急性期病院の多くが参加するDPC/PDPS制度の下では、階段状の点数設定により、長期入院ほど収入が逓減する。また、機能評価係数IIの「効率性係数」は、より在院日数の短い病院ほど係数が高くなる。さらに看護必要度、DPC特定病院群の実績要件である診療密度など、さまざまな点で高回転を目指すことが有利に働く。
DPC対象病院における平均在院日数は、年々短くなっている=グラフ1=。これは、2014年度に地域包括ケア病棟が新設された影響も大きい。DPC対象病棟から地ケア病棟に院内転棟することにより、このグラフの集計対象とならない患者が一定数いる影響も無視できない。ただし、地域包括ケア病棟を持たない大学病院本院群の在院日数は、14年度以前も以降も、同じペースで短縮し続けている。大学病院本院群の入院患者の大半は自宅に帰る=グラフ2=。平均在院日数が短くなっているのは、院内転棟によるものではなく、在院日数を縮めて、高回転化しているためである。
病床の高回転化は、限られた医療資源を有効活用する上で重要である。診療報酬制度などで取り組みを誘導することも当然と言える。
グラフ1 DPC対象病院における平均在院日数推移
DPC公開データ(11-18年度実績)を基に作成
グラフ2 データ提出病院における患者の退院先割合
DPC公開データ(18年度実績)を基に作成
しかし、行き過ぎた高回転化は、患者の再入院率が上がるなどの不利益が生じる。また、高回転化により、病床の稼働率が下がってしまうことは病院にとっては不利益である。そのため、病院は稼働をいかに下げないか努力する。
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次回配信は2月3日5:00を予定しています
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