社会保険診療報酬支払基金は1日、9月診療分の確定金額が1兆400億円で、前年同月比0.1%増となったと発表した。2020年度に入って初のプラス。しかし、件数は8,437万件で7.8%減と、依然としてマイナスが続いている。9月は平日数が前年同月に比べて1日多く、これが金額でプラスの大きな要因で、実質的には依然マイナス状態だと言える。【ライター 設楽幸雄】
組合健保、協会けんぽ、各種共済組合など社会保険分を中心に扱う支払基金の20年度の確定金額の伸び率は、4月▲10.2%、5月▲12.4%、6月▲3.9%、7月▲5.2%、8月▲2.9%、9月0.1%と推移している。6月以降は回復傾向にあり、9月でついにプラスになった。
ただ、8月は平日数が1日少なく、9月は逆に1日多い状況であることを考えると、実質的には8月のマイナスがより小さくなり、9月はマイナスになる。8月から9月にかけては、マイナスの横ばい状態と言えそうだ。
10月からは、新型コロナウイルス陽性者数が増加に転じ、11月以降は急増しているため、10月以降の医療費の動向が注目される。
件数の20年度の伸び率は、4月▲22.9%、5月▲24.2%、6月▲13.6%、7月▲11.9%、8月▲7.3%、9月▲7.8%という推移だ。9月は、8月よりもマイナス幅が拡大した。平日数の状況からは、実質的なマイナス幅はより大きいものとなる。
診療種類別の9月の金額の伸び率は、医科入院0.0%、医科入院外▲1.4%、歯科8.0%、調剤▲1.6%となった。
9月の件数の伸び率は、医科入院4.1%、医科入院外▲8.9%、歯科0.7%、調剤▲10.0%。
医科入院は、件数がかなりのプラスでありながら、金額は横ばいだった。一方、医科入院外と調剤は、件数が大幅なマイナスだったのに対し、金額は小幅なマイナスにとどまった。歯科は、件数がやや増加の中で、金額は大幅増となった。
(資料1:9月診療分の件数が前年同月比伸び率で7.8%減少、確定金額は0.1%増加)
(資料2:医療機関等への診療報酬確定状況-令和2年9月診療分)
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