【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
2021年度の介護報酬改定に向け、第2ラウンドの議論を終えた通所介護については、改定後の形がある程度見えてきた。その焦点となる加算の在り方を検証してみたい。
算定率が著しく低く、加算の意味をなしていない生活機能向上連携加算に関しては、外部のリハビリテーション専門職との連携を促進するため、ICTの活用などによってリハビリ専門職らが通所介護事業所を訪問せずに、利用者の状況を適切に把握し助言した場合でも算定できる方向で検討されている。
しかし、この加算の一番の問題点は、外部のリハビリ専門職との連携の契約費用を支払うと、加算による収益がほとんど相殺されることだ。従って、加算単位も見直さなければその算定率は上がらないだろう。そもそも、外部の専門職が機能訓練計画書の作成に介入したからといって、自立支援に効果があるというエビデンスはないほか、算定により高い自己負担額を支払う利用者への説明と同意を得るのが難しいことも問題視すべきである。
個別機能訓練加算について、現在は、(I)が身体機能、(II)が生活機能の維持・向上を図ることとされており、人員配置基準は(I)の方が厳しい一方、個別機能訓練の対象者・実施者の基準については(II)の方が厳しくなっている。
しかし、実際には同加算(I)と(II)の訓練内容にほとんど差がなく実施されていることが明らかになっており、両者を統一した上で、機能訓練指導員を、サービス提供時間帯を通じて専従配置した場合に上位区分の(I)を算定することになる。
これにより、算定要件が分かりやすくなることは確かだが、今まで可能だった同加算(I)と(II)の併算定ができなくなることから、収益が減る事業所も少なくない。ある意味で、これは「緩やかな給付抑制策」と言えなくもない。
■新たな入浴介助加算、契約費が算定の足かせに?
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