次期介護報酬改定に向けた社会保障審議会・介護給付費分科会の審議が、年末に向けて加速している。16日の分科会では、これまでの議論を踏まえた個別サービスの報酬・基準の見直し項目が整理されて、それぞれの論点への対応案が示された。連載第5回は、この内容を見ていく。【齋藤栄子】
まず先に、連載第4回以降のポイントを簡単に振り返る。10月30日の分科会では、2020年度の介護事業経営実態調査等の結果が出た。18年度介護報酬改定の改定率は0.54%のプラス改定だったが、19年度決算の全サービスの平均収支差率は2.4%と18年度決算比で0.7ポイントダウンした。有効回答率は45.2%と低調で、回答率を上げる方策の検討を厚生労働省に求める声が委員から出た。
日付が前後するが、10月9日の分科会ではこれまで議論した5つの横断的テーマに沿って整理された「基本的な視点(案)」が出た。注目したいのは「制度の安定性・持続可能性の確保」に向けて、報酬体系の簡素化を進めていくことが盛り込まれたことだろう。介護保険の創設当初には1,745だったサービスコード数が膨れ上がり報酬体系が複雑化していること、加算の算定要件を満たすことや事務負担などが重く算定率が低い加算が多いことなどからも、これらを整理していく方向性が示された。
「介護給付費等サービスコード、20年間で2万件超増加」
「介護報酬改定に向けた基本的な視点の案を提示、厚労省」
さて、今回の本題となる個別サービスの議論を振り返ると、7月から8月にかけての第1ラウンドで現状と課題について意見交換し、10月からの第2ラウンドでは報酬・基準について検討の方向性を議論した。厚労省はこれらの内容を精査して、11月16日の分科会に、それぞれの見直す項目の論点と対応案を示した。まだ最終決定ではなく、今後さらに項目が追加される可能性や、今回の案が見直される可能性もあるが、厚労省が改定項目として着目している報酬が何か、どちらの方向へ見直そうとしているかなど現状把握に役立ててほしい。
■定期巡回・随時対応型訪問介護看護
論点1は、指定権者(市町村)で独自のルールが設けられているケースがあるため、小規模多機能型居宅介護(小多機)を参考に「計画作成責任者について管理者との兼務可」「オペレーター及び随時訪問サービスを行う訪問介護員は、必ずしも事業所内にいる必要はない」との対応案が示された。論点2も、
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