財務省が2日の財政制度等審議会・財政制度分科会で、福祉用具の一部貸与種目について、「貸与ではなく販売とすべき」などと指摘したことなどを受け、社会保障審議会・介護給付費分科会でも対応について検討が始まった。9日の議論では、貸与を原則とする制度の趣旨を踏まえ、委員から反対意見が相次いだ。財務省が販売に移行した場合に抑制できるとしている給付費の試算データについても、一部の委員は「違和感」を表明した。【吉木ちひろ】
財政制度分科会で財務省が示した資料では、福祉用具貸与のみを行うケアプランについて、福祉用具を「購入する場合に比して多額の費用を要している」と指摘。歩行補助杖、歩行器、手すりなどの「要介護度に関係なく給付対象となっている品目」について、2021年度介護報酬改定に合わせ、「貸与ではなく販売とすべき」と提言している。
第192回社会保障審議会介護給付費分科会で取り上げられた財務省の資料
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000692565.pdf及び
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20201102/01.pdf
これに対して厚生労働省は、介護保険制度上の福祉用具の利用については、利用者が「適時・適切」な福祉用具を利用できるようにするために、貸与が原則となっているという制度の趣旨や、実際に利用者の身体状況や住環境などが定期的にモニタリングされている現場での運用状況などを検討材料として示し、対応の在り方について検討を促した。
介護現場を代表する委員からは、利用者の経済的な負担増加や、環境・身体の状態に合っていない用具を無理に使い続けることによる悪影響を懸念する意見が複数あり、安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)や河本滋史委員(健康保険組合連合会常務理事)、間利子晃一参考人(井上隆・経団連常務理事の代理で出席)も、制度の趣旨や重要性については一定の理解を示した。
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