【小濱介護経営事務所 代表 小濱道博】
2021年度介護報酬改定に向けた審議も終盤を迎え、サービスごとの論点についての審議も2巡目となって、具体的な改定の方向が見えてきている。それに先立って、「令和3年度介護報酬改定に向けた基本的な視点」が取りまとめられた。これは、12月にまとめられる「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」の前段に当たる部分だ。今回は、その内容を見ていく。
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「見えてきた2021年度介護報酬改定の行方、コロナ禍の影響は?」
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(1)感染症や災害への対応力強化が求められる中での改定
今回の介護報酬改定は、コロナ禍以降、初めての改定となる。その感染対策を徹底しながらサービスを継続する体制の確保が求められ、度重なる大雨、台風、地震といった大規模な災害も増えている。このような状況下でも、安定・継続してサービスを提供できる体制の構築が急務となっている。
コロナ禍で特例や緩和措置が多数、発出されている。また、先の大地震時に出された特例通知が今回のコロナ禍では生かされた。それらはあくまでも特例措置であるため、通常の基準に落とし込まれることはない。しかし、その対応状況を検証しながら人員基準、設備基準、運営基準を見直すことは必要である。そのような視点の中で、インターネット会議の開催などについて、通常の運営基準や加算の算定基準に盛り込むことなどが検討されている。
(2)地域包括ケアシステムの推進が求められる中での改定
今回の介護保険法改正、介護報酬改定から、「2040年問題」を見据えた内容となっている。地域包括ケアシステムは25年問題の対策として導入されたもので、地域共生社会の実現のためのツールという位置にある。40年問題とは、団塊ジュニア世代が65歳を迎え、85歳以上の高齢者が1,000万人を超えることを言う。同時に過疎化が進み、地方の町や村では若者が都市部に移動することで高齢化率が急増し、かつ人材確保の問題から介護事業所が存続できずに、過疎化地域の高齢者が必要な介護サービスを受けられないことが懸念されている。この対策も急務である。
また、昨年6月に出された認知症施策推進大綱、すなわち新オレンジプランに沿った認知症対策も求められる。このような中で、重要なキーワードは
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