2020年3月16日。この日を、2021年度介護報酬改定に向けた「キックオフ」に位置付けて、第176回社会保障審議会・介護給付費分科会が開催された。21年度改定のスケジュールや議論の進め方、横断的なテーマなどの論点が示され、前回改定のキックオフ(17年4月26日)よりも1月以上前倒ししてスタートを切ったはずだった。【齋藤栄子】
厚生労働省資料より
しかし、新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言を受けて、以降の議論に入ることなく時間は経過した。審議の形式をオンラインに切り替えて議論が再開されたのは、2カ月以上が経った6月1日だった。初めての試みで、進め方の予測がつかない始まりだったが、手応えを得て、以降の議論はオンラインで急ピッチに進んだ。
■これまでのスケジュールを整理
前回改定では、個別サービスについての議論や事業者団体ヒアリングなどを経て、キックオフから6カ月後の10月27日に、「18年度介護報酬改定に向けた基本的な視点」が示され、以降8回にわたる議論を経て、審議報告が取りまとめられた。
今回は、6月に横断的テーマを、7月から8月にかけて個別サービスの議論から事業者団体ヒアリングまでを一気に進め、27日の分科会で第1ラウンドはほぼ終了した。3カ月間という前回改定の半分の期間で議論を尽くし、駆け抜けた印象だ。
第2ラウンドに向けての積み残しで大きな議題は、「介護事業経営実態調査」の20年度調査の結果を受けての議論だろう。回収率が低く、6月30日の期限を過ぎても受け付けると告知していたが、厚生労働省は8月の分科会で「まだ受け付ける」考えを示し、調査への協力を依頼する事務連絡を出している。
「介護の経営実態調査、回答期限迫る」
「介護経営実態調査の回答受付、8月中旬まで延長へ」
10月に「介護報酬改定検証・研究委員会」を開催して調査結果の速報値を報告し、承認を得て分科会へ提出される予定だが、前回改定では10月25日に委員会が行われたので、回答期限の延長を受けて、今回は11月にずれ込む可能性もあるだろう。
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