【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言が解除され、街には人が徐々に戻ってきている印象だ。特に、夜の会食などは感染拡大前には及ばないが、週末はだいぶ勢いが出てきたようである。その影響なのか、東京都では2日、5月初旬以来となる100人超の新規感染者が報告されている。指数関数的に増加しているという見方もあるだろう。
患者数が増加すれば医療提供体制が重要になるわけだが、さまざまな報道にもあるように、病院の財務状況は極めて厳しい局面にある。夏の賞与は何とか払えたが、冬の賞与は支払いの見込みがないという声も多く耳にする。もちろん、金融機関からの短期借り入れでその場しのぎはできるかもしれない。しかし、返済の目途が立たない借り入れとなり、短期の借り換えを繰り返さざるを得ない医療機関も出てくるだろう。病院の売り案件も増加しているようだ。
表1は、本連載でこれまでに取り上げた、3つの高度急性期病院の5月の診療実績である。4月とおおむね傾向は変わらないものの、より悪化しているのが一般的であるが、地域差の影響は出ているようだ=表2=。
高度急性期病院では、手術患者が入院患者の多くを占める。グラフ1に示すように、
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