骨太方針2020の骨子を固めた22日の経済財政諮問会議後の記者会見で西村康稔経済再生担当相は、「デジタル化への集中改革が一丁目一番地」とし、特にオンライン診療について「後戻りさせないという強い決意で進めたい」との考えを明確にした。民間議員提出資料から、再診料算定回数に占める電話等による再診算定回数の割合が病院で117倍、診療所でも5.3倍と大幅に上昇していることも指摘した。【ライター 設楽幸雄】
骨太方針2020の骨子は、第1章「新型コロナウイルス感染症の下での危機克服と新しい未来に向けて」、第2章「感染症拡大への対応と経済活動の段階的引き上げ」、第3章「“新たな日常“の実現」、の3章で構成。第3章が具体策を示す部分となる。
その第3章の筆頭に、「“新たな日常”構築の原動力となるデジタル化への集中投資・活用とその環境整備」として「ニューディール」が位置付けられている。
西村経済再生相は、この「デジタル化への集中投資」を「骨太方針の一丁目一番地」だとした。
22日の諮問会議では、「新たな日常」の構築が、骨太方針と共に議題とされ、その中で地方行財政と社会保障がテーマに挙げられた。この「新たな日常」の構築での議論が、骨太方針2020の第3章に反映されていくものとみられる。
この課題に対し民間議員は、「強靭かつ柔軟、安心できる社会保障の構築」について提言し、特に「医療・介護におけるデジタル化の加速」に重点を置いた。
具体策としては、▽オンライン診療に対応する医療機関の見える化は、都道府県ごとの記載内容を統一し、ファイルも読み取り可能とするなど抜本的に改善▽オンライン診療や薬剤配送の仕組みの構築を急ぐため、オンライン診療や電子処方箋の発行に要するシステム導入を支援▽オンライン診療の時限的措置の効果や課題の検証は、医療従事者、受診者、保険者など幅広く意見を聞き、エビデンスを見える化▽電子処方箋は、新たな日常での早期活用に向け、3年後の実施開始を前倒しすべき-など6項目を挙げた。
さらに、参考資料でオンライン診療の現状を示し、日本医師会が9日に発表したコロナの影響に関する医療経営状況のアンケート調査の結果から、電話等による診療の19年4月と20年4月の算定回数割合は、初診が病院で0.0%から0.02%に上昇、診療所は0.0%から0.2%へと大きく上昇。再診では、病院が0.02%から2.1%へと117倍に、診療所は0.2%から1.7%へと5.3倍になったと指摘した。
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