人とまちづくり研究所(代表理事=堀田聰子・慶応大大学院教授)が行った介護保険サービス事業所の管理者調査では、新型コロナウイルスへの対応を通じて「これまでの感染マニュアルでは不十分」「感染が発生して乗り越えた事業所の実践を知りたい」など、多くの自由回答を得た。今後への要望として、感染症などで行き場を失った介護難民が出た場合、新型コロナの要観察・軽症者対応でホテルを活用したように、要介護者を一時的に預かる場所(システム)の確保が必要との声もあった。【齋藤栄子】
人とまちづくり研究所は、5月12日ごろから22日にかけて「新型コロナウイルス感染症が介護保険サービス事業所・職員・利用者等に及ぼす影響と現場での取組みに関する緊急調査【事業所管理者調査】」を実施し、5,714事業所から得た回答を報告書にまとめた。
調査対象は、全国老人福祉施設協議会、全国老人保健施設協会、日本慢性期医療協会など、15団体の介護保険サービス事業所管理者。
回答した事業所が実施している介護保険サービスは、介護老人保健施設・介護老人福祉施設・介護医療院などの「施設・居住系」2,980事業所、訪問介護・看護などの「訪問系」1,495事業所、通所介護など「通所系」878事業所、小規模多機能型居宅介護など「多機能系」361事業所。
陽性・濃厚接触となった利用者・入所者が「いた」と回答したのは109事業所。また、感染が疑われて対応が必要となった利用者・入所者が「いた」のは796事業所だった。
新型コロナの事業所運営への影響について、4月末までに一時期でも該当するものを複数回答で尋ねたところ、「利用者・家族希望による利用控え・キャンセル」が5割を超えて最多だった。2020年4月の事業活動収入(介護保険外の利用料等を含む)については、前年同月比で「ほぼ同じ」が44.7%、「減少」が29.5%で、14.4%が「増加」と回答した。
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