1日の社会保障審議会・介護給付費分科会では、2018年度の介護報酬改定の「効果検証及び調査研究」の結果について議論し、19年度調査分に関する報告内容を最終版として決定した。18年度改定で新設された通所介護の「ADL維持等加算」の算定を阻害している要因などを共有したほか、サービスの「質」を評価する指標について、標準化を求める意見や、認知症の評価を取り入れるべきとする意見があった。【吉木ちひろ】
「介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業」の調査結果によると、18年度の報酬改定で新設された「ADL維持等加算」(I)または(II)を算定している全国の通所介護事業所は2.6%(578施設)、地域密着型通所介護事業所は0.3%(57施設)だった。届け出のみをしている事業所はそれぞれ16.9%(3,741施設)、3.9%(657施設)。
同加算の算定要件である、(1)5時間以上の通所介護費の算定回数が5時間未満の算定回数より多い利用者で、6月以上連続利用者が20名以上(2)要介護3-5の利用者割合が15%以上(3)初回の認定から12月以内の利用者の割合が15%以下-の全てを満たす事業所の割合は、通所介護が63.9%、地域密着型通所介護が12.4%だった。このうち、地域密着型通所介護では、算定要件(1)を満たす事業所の割合が16.8%と低く、算定の制約となっていた。
また、ADL維持等加算について緩和・改善してほしいことについては、加算の届け出や請求の状況によらず「加算単位数」=(I)は3単位/月、(II)では6単位/月=が最も多く、請求がある事業所では82.1%だった=グラフ=。
「介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業」報告資料
また、調査結果によると、「ADL維持・向上のためのプログラムが増えた」「利用者のアウトカム(ADL)が意識されるようになった」など、介護サービスの質の向上につながる取り組みもうかがえる。同加算を算定している通所介護事業所を担当している介護支援専門員(ケアマネジャー)の44.4%は、加算の届け出に向けて事業所の変化が「あった」と回答した。
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