新型コロナウイルス感染症の患者にアビガンを投与するには、現時点では、厚生労働科学研究班に参加する必要があり、厚生労働省は参加への協力依頼を行ってきた。厚労省はこの間に多くの問い合わせがあったとし、27日、参加するための連絡先や、患者の要件、医療機関の要件などを具体的にまとめた。また、すでに1100の機関が参加し、投与患者数は2194人となっていることも示した。【ライター 設楽幸雄】
厚労省の研究班は、国立国際医療研究センターと藤田医科大病院の2つがある。
国立国際医療研究センターは、「重症患者に対する臨床学的治療法の開発」をテーマとし、アビガン(ファビピラビル)、カレトラ(ロピナビル/リトナビル)、オルベスコ(シクレソニド)の3剤を対象としている。
藤田医科大病院は、「無症状・軽症患者に関するウイルス量低減効果の検討」をテーマとし、アビガンとオルベスコのほか、フサン(ナファモスタット)、フォイパン(カモスタット)の4剤を対象としている。
厚労省は、新型コロナウイルス感染症の治療薬の有効性を検証するため、全国の医療機関にこの2つの研究班への参加を促すよう、4月2日に各都道府県などに事務連絡していた。
その後、特にアビガンについての問い合わせが多く寄せられたとし、今回、アビガンに関する研究の概要とアビガンの提供についての状況をまとめ、改めて、都道府県などに事務連絡した。
アビガンはすでにインフルエンザウイルスの治療薬として承認されているが、新型コロナウイルス感染症に対しては未承認であるため、現在は「観察研究」として、研究班の下でその効果の検証が進められている。
そのため、患者にアビガンを投与するためには、研究班による観察研究に参加することが必要となっている。その上で、患者本人の同意を得て、医師の判断により使用が必要となった場合に使用する。
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