【合同会社アグリハート 代表社員 木村佳晶】
新型コロナウイルス関連の報道が連日あり、社会は大変な状況にある。利用者、家族、スタッフへの感染拡大の予防対策を入念に実施している介護事業所がほとんどであるが、施設での感染例も報告されている。日常ケアの業務とこれらの対策を両立させることは厳しい課題で、本当に頭の下がる思いである。感染流行の早い終息を願うばかりだ。
今回の感染症対策においても、厚生労働省から複数の通知やQ&Aが出されているが、2020年2月24日発出の介護保険最新情報Vol.770「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」(第2報)に、自治体の要請により休業対象となった場合の算定や人員基準についての配慮が記載されているので確認されたい。通所介護事業所の運営に関しては、利用者の在宅でサービスを提供することに対しての算定についても言及されており、より柔軟な事業運営のヒントになるだろう。
さて本題だが、21年度介護報酬改定に向けた議論が始まった。16日に第176回社会保障審議会・介護給付費分科会が開催され、前回改定の振り返りなどがなされた。深刻化する人材不足への対応、介護現場の生産性向上、センサー・ICT・IoTの活用、アウトカム指標、保険者機能の強化など、多岐にわたる議論が想定される。今回は、ICT化についての視点を2つ紹介する。
1つ目は、優秀な人材を確保して、育成していくための手段としてのICT化だ。地域間格差もあるが、介護分野の有効求人倍率は依然として全産業より高い水準で推移している。人材確保の観点としては、介護現場におけるロボット技術の活用により、介護の業務負担の軽減を図る取り組みや、介護記録の作成・保管等のICT化を通じて事務を効率化することで、介護職員が直接処遇に関わる業務に多くの時間をかけられる。介護人材を確保するためのICT活用は、個人情報保護の観点も留意しながら積極的に推し進めたい対策である。
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