小濱介護経営事務所代表の小濱道博氏はこのほど、東京ビッグサイトで行われた「東京ケアウィーク2020」の専門セミナーで講演し、「今回の介護保険制度改正は生易しいものではない」などの考えを示した。2021年度からの第8期介護保険事業(支援)計画に向けて、ケアプラン作成の有料化や要介護1・2を市町村の総合事業へ移行するなどさまざまな改正項目が俎上に載ったが、多くが見送られた。19年10月の消費税率引き上げや、後期高齢者の一定所得以上の医療費窓口負担が2割に引き上げられる方向であることなどから反発を見越して、「国民負担に関連する部分が先送りされただけ」と話す。【齋藤栄子】
4月からの診療報酬改定がトータルでマイナス改定となることからも、「当然、介護報酬も楽観できる状況ではない」と小濱氏。実施の方向性が見えた補足給付の見直しなど、対象者が多い介護施設の経営にはインパクトがあり、今から対策が必要だ。また、24年の介護保険制度改正では、今回先送りしたものの多くが決まる可能性が高く、起こり得ることを想定して今から準備する必要があるという。
小濱氏は、社会保障審議会・介護保険部会が19年12月にまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」から、押さえておくべきポイントを次のように紹介した。
今回の制度改正の大きなキーワードは「通いの場」。20年度の予算として、インセンティブ交付金を19年度の200億円から400億円へ倍増することが閣議決定された。増額された200億円は、通いの場づくりとボランティアの有償化などに使用する。先送りされた制度改正の一つに、要介護1・2の総合事業移行があるが、実行するための受け皿が市町村にないことが要因だった。現時点で市町村への移行を強行すると、確実に介護サービスを受けることができない介護難民が発生する。制度改正は先送りでも、インセンティブ交付金により、将来の移行に向けた下地作りが確実に行われたと言える。
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