【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
昨年12月16日の社会保障審議会介護保険部会では、「介護保険制度の見直しに関する意見」の素案が出された。今後、諮問・答申が行われ、通常国会に法案が提出され、審議、可決という流れになる。
議論は制度改正から、2021年度の介護報酬改定にシフトしていくが、そこではケアマネジャーの処遇改善に向けた議論が、重要なテーマの一つになってくる。
介護保険制度の見直しに関する意見(概要)
ところで、制度改正では多くの検討事項が見送られたため、「影響は小さい」「プチ改正では」といった見方があるが、本当にそうだろうか。僕は決してそうは思わない。
今回の制度改正で議論された検討課題のうち、
〇被保険者範囲・受給者範囲の拡大(2号被保険者の年齢引き下げ等)
〇多床室の室料負担(室料の自己負担化がされていない老健等が対象)
〇ケアプラン作成(居宅介護支援費)の自己負担導入
〇軽度者の生活援助サービス等の地域支援事業への移行
〇「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準(3割負担および2割負担の対象者の拡大)
〇補足給付の資産要件について、「土地・家屋」も加えた評価
―といった案が見送られた。
※CBニュースでは、今回見送られた検討課題について、別記事でも解説します。
これらの案が見送られた主な理由は、「消費税増税」だろう。19年10月からの消費税引き上げは、直接国民の痛みにつながっている。しかしそれは社会保障費の増大に伴う必要な改革であり、増税分はすべて社会保障財源とするというのが、国と国民の約束事だった。にもかかわらず、「さらに国民の痛みにつながる負担増や給付抑制を求めるのは説明がつかない」というのが見送りの理由ではないか。
医療費については、一定の所得がある後期高齢者(75歳以上)による医療費の窓口負担を、現在の原則1割から2割にするとし、団塊の世代が75歳以上になり始める22年度初めまでの実施を目指し、枠組みを検討していくことになる。そこに介護サービスの費用も増える「ダブル負担増」となれば、国民の反発は免れない。
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