【株式会社ジャパンコンサルタント アンド メディカルサービス代表取締役 森清光】
読者の皆さま、新年のごあいさつには遅いタイミングですが、今年も読者の皆さまにとって、実り多き年になりますようにお祈り申し上げます。本年も、医療情勢と病院経営について書かせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
2020年の一大イベントといえば、オリンピック・パラリンピックです。世界中の一流アスリートが東京に集まるということで、世間的にはワクワクした年になりそうです。
読者の皆さまの中でも、観戦予定の方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?
一方で日本経済は、消費税の増税や人件費の高騰、さらに米中の貿易摩擦の影響が大きく反映して、業績が悪化している企業が増加しています。医療機関においては、帝国データバンクの「医療機関の倒産動向調査2019年」では、19年度に45件(病院8件、診療所22件、歯科医院15件)の倒産があったそうです。これは過去10年で最多数とのことです。
その中でも目を引くのは、負債額が最大だった「大崎病院 東京ハートセンター」ではないでしょうか? 業界内でも、経営難の話や売却のうわさが幾度となくありました。心臓血管外科で著名な先生がおり、テレビや雑誌で取り上げられるなど知名度や集患力がありましたが、施設への過剰投資や内部トラブルにより、民事再生することになったようです。どのように再建されるか、私は注目しております。
さて、今月のテーマは、「20年の中小病院サバイバル」です。
1月も終盤に入りお正月ムードは抜けたでしょうが、読者の皆さまの病院では、今年の目標を設定し、職員で共有できていますでしょうか? 目標を設定することは、職員全体での意識向上、病院の質向上に役立てることができます。
病院は非営利が原則ですが、売り上げや病床稼働率、さらには利益率を目標にすることができないわけではありません。「長年にわたり地域医療の中核を担い、診療を続けられる経営をすること」が病院にとっての長期目標であり、そのために無理のない具体的な数値に落とし込んだものが、短期の目標となるでしょう。
そして、労務や部門ごとに課題点を目標設定することで、職員が目的意識を持つこととなり、継続的なPDCAサイクルへとつなげることができるでしょう。
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