医師の働き方改革をめぐる議論を踏まえ、厚生労働省が2019年末に医政局長名で発出した通知では、医師の「応招義務」(応召義務)についての考え方が整理され、勤務医が「労働基準法等に違反することとなることを理由に医療機関に対して診療等の労務提供を拒否したとしても、医師法第19条第1項及び歯科医師法第19条第1項に規定する応招義務違反にはあたらない」などとした。患者を診療しないことが正当化されるケースとその考え方を示している。【吉木ちひろ】
通知は18年度の厚労省補助事業である「医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた医師法の応召義務の解釈に関する研究」の報告書を反映したもの。医師法第19条第1項に定められている「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」とする規定(いわゆる医師の応招義務)について、医療機関としての対応を含めて整理した。医師法が施行されて以降の医療提供体制の変化や勤務医の過重労働の問題を踏まえた。
通知では、患者を診療しないことが正当化されるかどうかを判断する際に最も重要な考慮要素を「緊急対応が必要であるか否か(病状の深刻度)」としている。その上で、診療を求められたのが診療時間・勤務時間の内外どちらであるかに分けて考え方を整理した。
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