後発医薬品使用割合80%を2020年9月までにという政府目標は、前倒しで達成の見込みとなった。その中で、財政制度等審議会の建議からは、かつて医薬品産業を震え上がらせ、医療担当者からも忌避された「参照価格制」導入を検討すべきとの提言が消えた。だが、現実には、参照価格制に近い方式が薬価制度に組み込まれ、使用割合も政府目標達成の見通しとなっている。財政審は、その効果を認めた形だ。【ライター 設楽幸雄】
財政審は、薬剤費抑制の切り札として、参照価格制の導入を長きにわたって求め続けてきた。後発品の出ている先発品については、保険からの給付を後発品の薬価までとし、超える部分は患者負担とする方式だ。ドイツが実施し薬剤費抑制に大きな成果を上げた一方、製薬産業の衰退を招いたとされる。
この方式が導入されれば、患者負担の増加を避けるため、後発品の出た先発品は早期に後発品への切り替えが進む。その結果、薬剤費は大きく削減され、医療費全体としても抑制される。
だが、16年11月にまとめた17年度予算に関する財政審建議で、この参照価格制の導入を検討すべきとの提言が消えた。ただ、翌年の18年度予算に関する建議では、改革工程表の項目の実施を求める中で、「先発品薬価のうち後発品の給付額を超える部分の負担の在り方の結論を年末(17年末)までに出す」と記載し、その考え方を持ち続けていることを示した。
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