【医療法人梅華会グループ理事長 梅岡比俊】
開業してしばらくすると、うまく運営できているクリニックでは患者が徐々に増えて、いずれ待合室の混雑対策・患者の待ち時間対策が必要になってきます。そこで、私がお勧めするのは、クラークの育成を早々に始めることです。医師や看護師のサポートをしてくれるクラークは、入院施設のあるような大きな病院ではよく見られますが、クリニックで採用している所は多くはありません。しかし、クラークは私たち開業医にとって、とても大きな力となってくれると私は感じています。
私のクリニックでのクラークの仕事は、患者を呼び出すこと、患者から主な症状を聞き出して電子カルテへ記載すること、処置や投薬に関する内容など、診療報酬算定に必要な電子カルテを作成することです。患者にアンケートを取ってみると、どのクリニックでも待ち時間が長いことによる不満、医師が患者と目を合わせないことによる信頼度・満足度の低下という結果が得られると聞いたことがあります。私はクラークを育成することで、このどちらも解決できる可能性があると思っています。
■クラークを置いてから診察スピ-ドは1.5倍に
通常、医師は診察の後でカルテに記帳することになりますが、クラークにカルテへの記載を任せることができれば、診察業務だけに専念できます。クラークを置いてから、診察するスピードが1.5倍くらいアップできたと私は感じています。従来1時間当たり10人診ていた場合、15人は診察できる感じです。クラークを置くと人件費が1人分増えることになりますが、単純に考えれば、診察時間は3分の2に短縮できるわけですから、患者の待ち時間の短縮、スタッフの残業代などを考えれば、決して無駄な投資だとは思いません。
次に、医師への信頼度・満足度に関しては、カルテへの記載がなくなることで、医師は患者と目と目を合わせて会話し、そこに集中することができます。カルテが表示されている画面を見ながら、あるいは電子カルテへ入力しながら患者と話すことは、たとえ相手がお子さんであっても、ラポールの形成や人と人との信頼関係を築く上で、大きな妨げになると考えます。
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