【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 教授 京極真】
Q うちは小さな医院ですが、医院の人間関係が派閥争いで面倒なことになりつつあります。スタッフたちが派閥間で足を引っ張り合い、派閥に属さない人に嫌がらせをしています。ギリギリのメンバーでやっているので、効率的に連携しないといけないのに、派閥争いなどされたら困ります。私がコミュニケーションの潤滑油になるしかないだろうか。
役割が固定されると、派閥争いが起こることがあります。対策としては、役割の開放を目指してみましょう。それによって、派閥の枠が緩くなったり、なくなったりすることがあるため、医院の人間関係の面倒さを解消できる可能性があります。
■医院内で派閥争いが生じる理由
医院内で派閥争いが生じる理由の1つに、固定された役割があります。役割が固定されると、例えば、以下のようなことが起こります。
1)職務の縦割りが促進される
2)類似した役割を持つ人たちで集団が形成される
3)時間が経つにつれて集団の凝集性が高まる
4)集団の凝集性が高まると排他的な力動が働く
5)派閥を超えた横断的な連携がし難くなる
固定された役割は、職務や専門性の明確化という点では優れた面があります。例えば、役割が固定化された看護師は、患者の生活支援に専念できたり、医師の診察補助に尽力することができたりします。こんな感じで、固定された役割は仕事に専念しやすくしてくれるものです。
ところが、上述したように、固定された役割には負の側面もあります。例えば、役割が固定されると、自分の仕事以外はやらなくてもいいと感じたり、異なる役割の人に対して仲間意識を持てずに協力しなくなったりすることがあります。これは専門職、非専門職で共に起こる問題です。事務が事務の役割にのみ従事していたら、縦割りが進むことによって集団の凝集性が高まり、排他的な力動が働くので、結果として派閥争いにつながっていきがちです。
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