急性期から回復期、慢性期、さらに退院後の在宅や介護と、幅広いフィールドでコンサルティングを行う酒井麻由美氏(株式会社リンクアップラボ代表取締役)が、CBnewsセミナー「20年度報酬改定、急性期だけ見ていると読み誤る-入院が実は必要な人、見逃してませんか」で講演した。9月27日に行われた酒井氏の講演の様子を紹介したい。
※セミナーはオンラインで行われた。当日の動画もこちらで公開している
■「地域包括ケア病棟で直受けを」のメッセージか
18年度改定では、地域包括ケア病棟で「在宅からの患者の受け入れ」の要件が目立ったが、国も強く要請しているテーマかもしれない。
急性期の大きな病院が、地域包括ケア病棟を持っていても、急性増悪した高齢患者を、直に地域包括ケア病棟で受け入れはしないだろう。サブアキュートではなく、引き続きポストアキュートとして活用するはずだ。
ただ、大きな病院が地域包括ケア病棟を持つと、患者を抱え、「回復期的」な病棟を持つ“後方病院”に患者を送らなくなる可能性は出てくる。
患者が来なくなった“後方病院”では、入院ルートを見直さねばならない。在宅等のちょっとした増悪は、地域包括ケア病棟で「直受け」してというメッセージかもしれない。
また、地域包括ケア病棟では、在宅復帰率にカウントする退院先として、療養病棟や介護老人保健施設が外された。これはできるだけ、60日以内で患者を退院させ、退院後は病院から患者を訪問して支えなさいというメッセージかもしれない。
在宅患者支援(療養)病床初期加算
■独居などで帰すのが不安なら入院を勧める
地域包括ケア病棟は、看護必要度の基準※に該当すれば、残りはどんな疾患でも受け入れられる自由度の高い病棟。
地域包括ケア病棟の入院患者を確保する上で、注目したいのは外来だ。
独居や老老介護の高齢者が、風邪などで外来を受診したら、「熱が下がり、食事が取れるまで入院しませんか」という提案も必要だろう。
ある地方病院(療養病棟と地域包括ケア病棟を持つ)で、外来の看護師に、「地域包括ケア病棟は、今日は何床空いていますか」と尋ねたが、把握していなかった。また、独居、老老介護の人で、そのまま帰すのは不安と思っていても、家に帰してしまった。
そこで、独居、老老介護などで通院困難な患者のカルテには、黄色いシールを張り、このまま帰すのはよくないと思えば、院内で協力して入院を勧めている。このような対応は、救急を受けていない病院は特に進めたい。在宅等のちょっとした増悪は、地域包括ケア病棟で受け入れたい。
(残り2841字 / 全3931字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】