急性期から回復期、慢性期、さらに退院後の在宅や介護と、幅広いフィールドでコンサルティングを行う酒井麻由美氏(株式会社リンクアップラボ代表取締役)が、CBnewsセミナー「20年度報酬改定、急性期だけ見ていると読み誤る-入院が実は必要な人、見逃してませんか」で講演した。9月27日に行われた酒井氏の講演の様子を紹介したい。
※セミナーはオンラインで行われた。当日の動画もこちらで公開している
■入院患者の減少を補うための取り組みを
高度急性期、急性期の医療は、生産年齢が主な対象であり、高齢者が多くなっても、ニーズはあまり増えない。例えば、85歳でがんになって、積極的な手術や放射線治療、化学療法が本当に適切なのかということ。高齢者には、退院しても地域で生活できるよう支える仕組みが必要になる。
生産年齢人口が減少すると、入院受療率にも影響する。人口10万人の都市で入院受療率が1%だと、入院患者は1000人。入院受療率が0.9%になれば、入院患者は900人になる。さらに人口が9万人になって、受療率が0.9%なら810人。今後はこのように入院患者が減少していくため、病床を埋めるのがさらに難しくなる。
入院患者の減少を補うため、病院は今までの取り組みを見直す必要がある。
■18年度改定ではACPの取り組みを評価
20年度診療報酬改定に向けた課題を見たい。
18年度改定では、「アドバンス・ケア・プランニング」(ACP)を促す評価が見られた。
機能強化型在宅療養支援診療所・病院(機能強化型在支診・在支病)の要件は、過去1年間の在宅看取りの実績は4件以上だが、カウントできる要件が広がった。
最期を家で迎えたくても、独居等だとなかなか難しい。あらかじめ聴取した患者・家族の意向に基づき、入院を受け入れた病院などで7日以内に死亡した場合、機能強化型在支診・在支病の看取り実績になる(直近6カ月間に訪問診療をしていた場合)。
療養病棟と地域包括ケア病棟では、看取りに対する指針の策定が求められたが、さらに、在宅等から受け入れた患者に対し、「治療方針に関する患者またはその家族等の意思決定に対する支援」をした場合、在宅患者支援(療養)病床初期加算が算定できる(地域包括ケア病棟1日300点、療養病棟1日350点)。
救急・在宅等支援病床初期加算等の見直し
※療養病棟入院基本料、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料1と3では、厚生労働省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、看取りに関する指針を定めることが施設基準に含まれた。
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