財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の財政制度分科会が1日開かれ、財務省は2020年度の診療報酬マイナス改定を主張した。市場実勢価格に合わせて薬価を引き下げるほか、医療機関の人件費や物件費を賄う診療報酬本体の引き下げも求めた。賃金や物価に比べ、本体の改定率が高水準で推移しているためで、薬価を合わせた診療報酬全体で「2%半ば以上のマイナス改定」が必要だとしている。【吉木ちひろ、松村秀士、兼松昭夫】
財務省では、診療報酬全体を1%引き下げることで、国・地方の税金と医療保険の保険料、患者負担を合わせた全体の医療費を約4,600億円抑制できるとみている。
20年度政府予算の編成に対する財政審の提言(建議)は11月下旬ごろ取りまとめる見通しで、内容の具体化を引き続き進める。ただ、日本医師会の横倉義武会長は同日、緊急で開かれた記者会見で、「(財務省のデータは)相変わらず恣意的だ」などと強く反発した。年末の政府予算案の編成に向け、診療報酬改定率の調整が政府・与党内で難航するのは確実だ。
財務省は、18年度政府予算への建議でも診療報酬本体の引き下げを求めていたが、実際には0.55%のプラス改定で決着した。
■病院・診療所ごとに改定率を
20年度予算編成に向け、財政審が社会保障を取り上げたのは10月9日に続き、この日が2回目。財務省は今回、▽診療報酬の合理化・適正化▽外来患者に新たな定額負担を求める仕組みの導入▽後期高齢者(75歳以上)による医療費の窓口負担増-などを盛り込んだ医療制度改革案を示した。
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