診療報酬改定の議論は細かいテーマも多く、継続的にフォローしていないと、資料を読んでも理解しにくいと思います。今回から始まった「とことん解説・中医協」では、議論の背景も含め、できるだけ分かりやすく解説していきます。【大戸豊】
10月3日には中央社会保険医療協議会(中医協)の「第9回 入院医療等の調査・評価分科会」(以下、入院医療分科会)が開かれました。入院医療分科会では、入院料など病院関係者の特に関心の強いテーマが話し合われます。
3日は、(1)特定集中治療室管理料等(2)療養病棟入院基本料(3)抗菌薬適正使用支援加算(4)横断的事項(5)その他の事項-がテーマとなりました。順に見ていきましょう。
※当日の議論の詳細は、各レポートを参照ください。
■ICUへの入室が適切な患者像を明確化していく
特定集中治療室管理料1・2、施設基準見直しが論点に
特定集中治療室管理料等は、いわゆるICUなどの報酬です。生命の危機が切迫している患者が入院するため、専門のスタッフを手厚く充てます。
看護師の配置も、特定集中治療室は2対1で、患者2人に対して看護職員1人です。患者7人に対し看護職員1人の「7対1」(急性期一般入院料1)と比べ、配置が際立っています。
最も報酬の高い特定集中治療室管理料1は、1日当たり13650点です。つまり、13万6500円の報酬が算定できます。ただ、特定集中治療室ほど管理が必要なければ、HCU(ハイケアユニット)の入室でいいかもしれません。ハイケアユニット入院医療管理料1は6584点と特定集中治療室管理料1の半分、管理料2になると、4084点と3分の1以下です。
救命救急入院料等の主な施設基準(クリックで拡大)
2018年度改定から特定集中治療室管理料1・2では、入退室時などでSOFAスコアを報告対象としました。SOFA※は、患者の生理学的な状態を示すスコアです。高いほど危険な状態と言え、“濃厚な”医療が必要と言えるでしょう。
※呼吸機能、凝固機能、肝機能、循環機能、中枢神経機能、腎機能の6項目を、5段階の点数でスコア化し、全身の臓器障害の程度を判定するもの
3日の入院医療分科会では、厚生労働省から論点として、「SOFAスコアについて、看護必要度の該当項目の状況等との比較も含め、引き続き分析してはどうか」との提案がありました。
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