【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 教授 京極真】
Q スタッフのレベルアップのために院内勉強会を開催しました。その時、簡単な資料なのに正確に内容を理解できないスタッフが一定数いることに気付きました。そういえば以前、医師の指示簿を正確に理解できないスタッフへの対応について、主任スタッフから相談されたことがあったのを思い出しました。スタッフの読解力が低いという問題にはどう対応したらいいですか。
読解力が低いという問題の背景には、語彙力の乏しさがあります。資料や指示簿に出てくる用語の意味を理解するための勉強会を開催するなど、対策が必要です。
■読解力が低い人は知識労働に適応できない
経済協力開発機構(OECD)による国際成人力調査(PIAAC:ピアック)で、「書名と著者を対応させる」という図書検索に関する問題を解けない日本人が、約28%いることが明らかになりました。「設問の内容と著書の概要を対応させる」という問題を解けない日本人は約76%もいます。経営者はこの不都合な事実を前提に、院内勉強会の機会を設ける必要があります。
PIAACはOECD各国の成人(16歳から65歳まで)を対象に、知識基盤社会に適応するスキル(読解力、数的思考力、問題解決能力)を調査したものです。日本人は国際比較で読解力1位という結果だったものの、その内実は上記に示した通りです。他の国はもっとひどいのですが、「日本も大したことなかった」というのが実情です。
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