2019年度税制改正では、「地域における医療提供体制の確保に資する設備の特別償却制度」の拡充・見直しが行われた。19年4月に「所得税法等の一部を改正する法律」が施行され、医師および医療従事者の働き方改革を推進するため、医師勤務時間短縮計画に基づいて取得した「勤務時間短縮用設備等」や、地域医療構想の実現のために病床の再編を目的に取得した建物などの特別償却ができることになった。自院の設備投資に当たり、制度の見落としがないか改めて確認してほしい。【齋藤栄子】
全国自治体病院協議会の「医師の働き方改革に関するアンケート調査結果」では、「適切に労働時間が管理(把握)されていなかった」などの理由から、労働基準監督署による是正勧告・指導を受けた病院があったことが分かった。今後、管理に必要な設備の導入など、医療機関の経費の増加が懸念される。
(参考記事)「労働基準監督署による是正勧告・指導は71病院」
19年4月施行の改正法により、医師および医療従事者の労働時間を短縮するための設備の導入促進などを目的に、対象となる器具・備品や建物などの特別償却ができることになった。改めて、概要を整理する。
■働き方改革関連は30万円以上が対象、特別償却割合は取得価格の15%
特別償却制度の対象となる者は、いずれも「青色申告書を提出する法人」で、連結親法人または当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人を含む。または、「個人で医療保健業を営むもの」。拡充・見直しは、(1)医師およびその他の医療従事者労働時間短縮に資する機器等(2)地域医療構想の実現のための病床再編等の促進(3)医療用機器の効率的な配置の促進―の3つの特別償却制度を対象に行われた。
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