認知症予防に関するエビデンスはいまだ不十分である―。認知症施策推進関係閣僚会議が18日に決定した認知症施策推進大綱では、「予防」を柱の1つに据えたが、現時点では、エビデンスが整理されていない状況だ。このため、予防法の確立に向けたデータを蓄積するため、国内外の認知症予防に関する論文などを収集する方向性を示している。医療機関や医療者は、どのように施策に関わっていくことになるのか。【新井哉】
■予防など5つの柱に沿って施策を展開
大綱では対象期間は団塊の世代が75歳以上となる2025年までとしており、▽予防▽医療・ケア・介護サービス・介護者への支援▽普及啓発・本人発信支援▽認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援▽研究開発・産業促進・国際展開―の「5つの柱に沿って施策を展開する」としている。
予防の基本的な考え方を示しているが、いずれも「可能性」があるとの表記にとどめ、エビデンスに裏打ちされた取り組みを示せていない。例えば、運動不足の改善、糖尿病・高血圧症などの生活習慣病の予防については、「認知症予防に資する可能性が示唆されている」と記載。かかりつけ医、保健師、管理栄養士などの専門職による健康相談についても、「認知症の発症遅延や発症リスク低減、早期発見・早期対応につながる可能性があり、推進する」といった具合だ。今後、エビデンスが十分でない取り組みに医療関係者が関与せざるを得ないケースが出てきそうだ。
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