【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
4月23日に公表された財政制度等審議会財政制度分科会の資料では、介護に関して、2021年度の制度改正・報酬改定に向けたさまざまな提案を示している(73-95ページ)。それはまさに給付抑制策のオンパレードだ。
介護保険サービスの利用者負担については原則2割とすることや、居宅介護支援費の自己負担導入のほか、ケアマネジメントによってサービス事業所の価格競争を促したり、要介護1・2の生活援助(訪問介護)と通所介護を地域支援事業に移行したりすることなど、乱暴な提案が多い。
その中でも今回は、「介護施設の設備・運営基準の変更」に触れた部分について検証してみたい。
資料85ページの「介護事業所・施設の経営の効率化について」という図では、「介護施設の設備・運営基準については、長らく変更されておらず、近年の介護ロボットやICT等の普及効果が反映されていない」として、「介護ロボット等の設備に応じて設備・運営基準や報酬に差を設けるなど、生産性向上に向けたインセンティブを強化し、底上げを図るべき」としている。
介護事業所・施設の経営の効率化について(クリックで拡大)
財政制度分科会(2019年4月23日開催)資料より
この提言には、新たなテクノロジーのフル活用とセットで人員配置基準を緩和することが念頭にあるといわれており、自民党の厚生労働部会が4月18日にまとめた提言※の中でも、タブレットやウェアラブル、センサーなどを使って安全性を確保することを前提とし、「人員基準を緩和すべき」としている。さらに根本匠厚労相も「より少ない人手でも回る現場を実現する」と語っており、センサー・ロボットなどを導入した介護施設などについて、夜間配置職員などの基準見直しを視野に入れている。
自由民主党政務調査会厚生労働部会「新時代の社会保障改革ビジョン」8ページに介護提供体制の高度化についての項目あり
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次回配信は6月27日5:00を予定しています
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