病院経営の良し悪しは、戦略よりも「徹底させる」「徹底する」職員がいるかどうかが決め手―。病院の人事制度改革支援を担当する、日本経営の南雲千尋主任は、医療・介護業界は同様の機能があれば経営戦略に大きな差は生じないため、組織の実行レベルが成果を決めると言う。中小病院の人事制度のポイントについて話を聞いた。【齋藤栄子】
病院の経営を良くする人事制度のポイントは、▽戦略の共有・実行を推進▽職員の成長を支援▽効果的な組織運営―の3つだという。
「戦略の共有・実行」を役職ごとの役割で見ると、経営トップである院長が経営方針を示し、部長級の管理職が戦略を立て、師長などの課長職が戦術を立てる=図=。しかし、正しい戦略を立てても、戦術を誤るケースが病院の場合は多いという。これは、医療の現場で専門職として働く職員のビジネスマインドを育てる機会が少ないため、戦略を戦術に落とし込める人材が育ちにくいことに起因する。
戦術の立案・展開にはロジカルシンキングのスキルが重要で、このような「職員の成長支援」は、そのまま組織の成長となるもの。しかし、人材育成が重要だと理解しつつも効果が出るまでに時間がかかるなど、専門外の教育は後回しにされがちだ。
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