厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」が、3月末に報告書をまとめた。検討会では勤務医の時間外労働の上限時間が議論の中心だったが、そもそも働き方改革は全産業で進められるものだ。
今回、労働基準法が改正され、時間外労働の上限が罰則付きで法律に規定された。この4月からは、まずは大企業※が対象だが、病院や介護施設でも、常時雇用する人数が100人以上なら対象となる。
病院が今後対応を進めていく上でも、制度の大枠をとらえたいところだ。【大戸豊】
※中小企業については2020年4月から適用される。サービス業では、資本金5000万円以下または「常時使用する労働者の数」が100人以下の場合、中小企業とされる。サービス業の分類には、「大分類P(医療、福祉)」があり、「中分類83-医療業」には、病院がある。
■病院も常時雇用100人以上なら4月から適用
今回、時間外労働の上限が罰則付きで規定されたのは大きな変化だが、そもそも労基法では労働時間の限度を1日8時間および1週40時間、休日を毎週少なくとも1回与えると定めている。これを超えて労働させるには、36協定の締結が必要だ。36協定は、時間外労働や休日労働の労使間の協定だが、ここでは「時間外労働を行う業務の種類」や「時間外労働の上限」などを決めなければならない。
36協定で定める時間外労働は、これまでも上限基準が定められていたが、罰則による強制力はなく、臨時的に限度時間を超えて時間外労働をしなければならない特別の事情が予想される場合、特別条項付きの36協定を締結すれば、上限なく行わせることが可能だった。
今回の改正で、時間外労働の上限は原則月45時間、年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければ超えることができない。
また、臨時的な特別の事情があり、特別条項を設けていても、以下のルールを守る必要がある。違反した場合、罰則(6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがある。
(1)時間外労働が年720時間以内
(2)時間外労働と休日労働は合計で月100時間未満
(3)時間外労働と休日労働の合計は、「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」が全て1月当たり80時間以内
(4)月45時間を超えられるのは年6カ月まで
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