連載では、医師偏在の是正を目指す改正医療法・医師法の内容を整理してきた。今回は、医師の養成過程を通じた医師確保策や、外来(開業医)の偏在対策についてまとめたい。【大戸豊】
都道府県は2019年度中に医師確保計画を策定し、20年度からスタートさせ、36年度を目標に偏在を是正していく。
偏在是正の観点から、医師の少ない所は、医師の多い所から確保を図り、多い所は他の区域から確保を行わないことが基本になる。また、現在時点の医師不足には、医師派遣などの短期的施策で対応し(医師少数区域での業務促す仕組みづくりを)、将来時点の不足については、地域枠や地元出身者枠の定員増も組み合わせて行う。
地域枠で医学部に入学した場合、地域医療に9年間従事するという義務年限が設けられ、さらに地域で必要とされる診療科を選ぶことが課せられる場合もある。地域枠は奨学金の貸与とセットとなっており、義務年限まで従事することで返済義務が免除される。
他方、地元出身者枠は、その都道府県の出身者が県内の大学に入学することを見込んだ定員で、医師が県内で長期にわたって従事する割合が8割程度に上るため、三次医療圏内に医師が定着する効果がある。ただし、地域枠のように奨学金の“縛り”によって、特定の地域や診療科での義務は課されることはない。
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