【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■看護配置が手厚いほど入院単価は高い
当たり前のことだが、看護配置が手厚いほど、入院単価が高くなる。「病院経営管理指標」の数値は、病棟個別の単価ではないが、看護配置別に病院を分類し、その平均単価が示されている=グラフ1=。7対1看護配置の病院では5万円を大きく上回るのに対し、10対1では4万円、13対1では3万4000円弱と低い。これまでにも、看護配置と単価の関係についてこの連載で示してきた(例えば「低⼊院単価3パターンに⾒る看護必要度対策 データで読み解く病院経営(21)」など)。
グラフ 1 看護配置別 入院単価(医療法人・一般病院※)
厚生労働省 2016年度 病院経営管理指標を基に作成 ※病院種別が一般病院を対象にした集計結果。ケアミックス病院や療養型病院は含まない
入院基本料の違いは、急性期一般入院料1の1591点から地域一般入院料3の960点まで、約600点しかない。グラフ1で示した通り、平均単価に数万円もの差異が生じるのは、検査や手術などの診療報酬で大きな違いがあるためだ。大半の病院は、そのような高額な検査や手術を行うために手厚い看護師が必要と考える。ただ、同じ医療行為を行うのであれば、より手厚い看護配置の方が入院料は高くなり、単価向上を期待できることも事実である。
当然、手厚い看護配置が要件である急性期一般入院料1では、「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の該当患者割合で30%(Hファイルによる看護必要度Iの場合。EFファイルによる看護必要度IIの場合は25%)を満たす必要がある。
■看護配置の手厚さと人件費率の関係は…
病床機能報告のデータから、看護必要度のA項目3点以上とC項目1点以上の該当患者割合を合算(重複は無視)した値と、看護配置などとの関係性を調べた。
看護必要度と入院単価の関係についても何度か示している(例えば「看護必要度の評価は要らない!? データで読み解く病院経営(10)」など)が、A3点以上・C1点以上の該当患者割合と単価には正の相関がある。病床機能報告のデータには単価はないが、在院日数などの情報から推計した値で看護必要度との関係性を見ると、これまでと同様の傾向が見られる=グラフ2=。
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次回配信は4月3日5:00の予定です
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