【株式会社ヴァイタリー コンサルタント・看護師 水谷仁哉】
産業界全体から見ると、医療機関はビジネスとしての意識は高くないと思います。日本の医療は、仁術であるという道徳観、国民皆保険による医療の平等化により、良くも悪くもビジネス意識からは程遠いところで経営がなされてきたからなのかもしれません。そして、人のためにと医療に注力してきたことで、医療機関は独自のコミュニケーションが発達してきました。
そのような医療機関は、外から見ると「もったいない」「ビジネスチャンスだ」と思う企業も少なくないかと思います。しかし、江戸時代の鎖国状態であるかのごとく、技術やサービスを提案したくても言語が合わず、コミュニケーションが難航し、撤退してしまう企業もしばしば見受けられます。こうした話を聞くと、医療経験のない方が、医療機関のベテラン医療者とコミュニケーションを取ろうと思うと、確かに不安であるかもしれません。日本人が海外で生活するために、現地の言語を学ぶのと同じく、まずは実際の医療コミュニケーションにおいて合わせるべき言語を知ることから始めてみましょう。
■医療コミュニケーションは「命を支える行為についての思いを伝えること」
そもそも医療コミュニケーションとは何でしょうか? 医療コミュニケーションと聞くと、何となく、難しい医学用語で話すことを指すのではないかと思われるかもしれません。私は看護師ですが、各診療領域の深い知識があるわけではありませんので、難しい医学用語でコミュニケーションを取れと言われても、準備なしには困難かもしれません。しかし、難しい医学用語を知らない私でも、医療コミュニケーションが取れていると自信を持って言えます。
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