厚生労働省は15日、「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」の初会合を開いた。妊婦が医療機関を受診した際に医療費に上乗せされる「妊婦加算」の凍結などを受けて、妊産婦が安心できる保健・医療体制の在り方について検討し、2019年5-6月までに意見を取りまとめる考えだ。妊産婦に対する診療報酬上の評価の在り方については、この取りまとめを踏まえて、中央社会保険医療協議会で検討を行うものとし、20年度診療報酬改定に結果を反映させる方針だ。【齋藤栄子】
妊婦加算は、18年度診療報酬改定で新設された。新設の理由は、▽妊産婦の診療には、通常よりも慎重な対応や胎児・乳児への配慮が必要であることから、診療に積極的でない医療機関が存在する▽日本産婦人科医会・日本産科婦人科学会から妊婦の外来診療に対する評価新設の要望―などとされている。
しかし、コンタクトレンズの処方など、加算の算定が妥当なのかを指摘する声が上がり、秋以降にはニュースやインターネット上などで「少子高齢化に逆行する」などと制度そのものへの批判が上がった。このため、妊婦加算についての議論が与党で行われ、12月13日に、▽妊婦が安心できる医療提供体制の充実や健康管理の推進を含めた総合的な支援の検討▽20年度診療報酬改定において、妊婦加算の在り方を含め検討し、見直すこと▽それまでの間は、妊婦加算を一時停止する方向で、速やかに必要な措置を取ること―を厚労省に求めた。
同14日には、▽妊婦加算の一時凍結▽妊婦に対する診療の在り方について有識者を含めた議論▽妊婦加算の在り方について中医協で改めて議論―をすると根本匠厚労相が表明し、中医協へ諮問した。中医協は19日、1月からいったん運用を凍結し、20年度に予定されている次の診療報酬改定に向けて、改めて枠組みを検討すると根本厚労相に答申した。
■医政局、子ども家庭局、保険局の3局連携で検討会を開催
これらの経緯に加えて、出産年齢が上昇傾向にあるなど、妊産婦の健康管理により留意する必要性が高まっているなどの背景から、妊産婦が安心できる医療提供体制の充実や健康管理の推進について、さまざまな立場から検討会で議論する。このため、検討会の運営に当たっては医政局、子ども家庭局、保険局の3局連携で行うこととした。
(残り1965字 / 全2929字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】