前回では、中堅薬局チェーンを中心にM&Aが広がる可能性について説明した。その一方で、個人薬局については、オーナーが「自分の代まで」と、子どもに店を継がせない場合も見られる。4回目は、個人薬局は地域でどのような役割を担っていくべきか、医療環境情報研究所の大谷勇作氏に聞いた。【大戸豊】
■薬局が地域連携の輪に入っていない
大谷氏はもともと薬剤師で、現在は病院を中心にコンサルティングを行っているが、今後も薬局のM&Aは進むとしつつ、「企業的には店舗規模が拡大していく感覚でM&Aを見ると面白いのだろうけれど、医療という視点から見れば日本の人口の減少とともに病院数が減少し、同様に薬局も縮小していくという流れは止められない」と指摘する。
しかし、上場するチェーン薬局は特に、規模の拡大を進めなければ生き残れないため、M&Aを活用するのは自然の流れであり、今後数年は続くとみている。
大谷氏は、地域の医療・介護全体からすると、薬局のM&Aは小さな動きの一つにすぎないとし、まず考えるべきは、今後の地域医療の中で薬局が果たす役割を確保することではないかと強調する。そう考えたとき、病院の経営支援も行う立場からすると、地域での薬局の存在感の薄さの方に危機感を覚えている。
特に地方は患者が減っていく中、病院も経営的に厳しくなっていくため、その機能・役割を模索しており、地域の医療・介護従事者と「大変だから連携するしかない」という機運が出てきているものの、薬局が蚊帳の外に置かれているようで、薬剤師としては悔しい思いがあるという。
■個人薬局の経営者が子どもに店を継がせない
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