医薬分業の進展とともに、店舗が右肩上がりで増えてきた調剤薬局に、再編の波が押し寄せている。薬剤師の確保が困難だったり、調剤報酬の算定要件のハードルが上がったりする中、今後の運営に不安を感じている薬局経営者が、引退を意識する時期に差し掛かり、店舗の売却を視野に入れるようになっている。
薬局を中心に経営支援を行っているコンサルティング企業「Kaeマネジメント」の駒形公大専務に、近年の薬局経営の環境や経営者のマインドの変化などを聞いた。【大戸豊】
薬局がコンビニより多い5.9万軒になった背景
連載では、経営者が大量に引退する時期が迫り、全産業的に事業承継が課題となる中、息子や従業員に事業を引き継げない場合、第三者による承継が徐々に広がっていると伝えてきたが、薬局にもその流れは押し寄せている。
KaeマネジメントはM&Aの仲介事業者ではないが、近年薬局経営者から「薬局を買わないかと打診された。この案件は問題ないか」といった問い合わせが増えた。
特に2016年度の調剤報酬改定の概要が明らかになってきた15年の秋ごろは、薬局のM&Aの件数も譲渡価格もピークだったが、その後下火になったものの、今年に入ってからは相談も増えてきたという。
駒形専務は、同社の経営セミナーに参加する薬局経営者などは、薬局のビジネスでまだ利益が見込めることから、子どもに事業を継がせようとする意識が強いと話す。ただ、現在の60-70歳代は、医薬分業が急速に進んだ時期に店を拡大してきた“ゴールドラッシュ世代”。業界のパイオニア的存在だったこともあって、子どもに事業をバトンタッチするタイミングが遅れることもあるという。
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