【株式会社日本M&Aセンター 医療介護支援部 シニアディールマネージャー 森山智樹】
前回は、医療業界の動向、M&Aの活用法など、医療再編時代を生き抜く上でM&A活用が有効な手段であることをお伝えしましたが、今回は、医療機関の種類別に見たM&Aの現状と今後の行方について解説したいと思います。
■診療所は科目によりM&Aの傾向が異なる
診療所を「一般外来」「訪問診療」「透析」「健診」に大別して考えると、それぞれにM&Aや再編の傾向が異なります。
「一般外来」については、かかりつけ医としての機能が評価される傾向にあり、通常通り診療を行っていれば存続できる業界なので、M&Aは積極的には行われていません。あるとすれば、開業したい先生が引き継ぐ「承継開業」という形が多く、○○会というようなグループ展開をしている例もありますが、再編が一気に進む業界ではないと考えています。
ただ、地方の診療所については後継者問題が深刻で、無床診療所で90%以上、有床診療所で80%以上は後継者がいないということが帝国データバンクの調査で分かっています。診療所の数が飽和状態に向かう中で、「承継開業」という、診療所の事業を個人で引き受けるパターンが今後は増えてくると予測しています。
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