自殺企図患者の退院後のQOL(生活の質)の向上と再企図の防止を図る地域の支援体制構築が必要―。川崎市は、「自損事故救急事例研究会」がまとめた調査結果(要旨)を盛り込んだ「自殺対策の推進に関する報告書」を公表した。報告書によると、医療機関と消防のデータをリンクさせた自損事故救急搬送の事例分析は国内で初めて。飛び降りなどの自損事故については、9割近くが院内の精神科の介入を受けていたという。【新井哉】
■救急科の転帰は「退院」が半数超、「死亡」は2割 (残り577字 / 全1185字)
調査は、川崎市の自殺未遂者の実態などを把握し、未遂者とその家族に対する効果的な支援につなげる狙いがある。2017年1月1日から12月31日までの1年間に自損事故によって救急搬送された事例のうち、▽川崎市立川崎病院(川崎区、一般663床、精神38床、感染症12床)▽日本医科大武蔵小杉病院(中原区、372床)▽聖マリアンナ医科大病院(宮前区、1156床、精神52床)―の3病院に運ばれた412件について、多施設共同による救急搬送記録や診療記録を利用した観察研究を行った。
性別については、男性が150件(36.4%)、女性が262件(63.6%)。平均年齢の中央値は41.0歳だった。男性は40代が30件で最も多かったが、「幅広い年齢層で20件を超えていた」と指摘。女性については、20代が81件、30代が57件、40代が50件となっており、「若年層が多かった」としている。
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