【株式会社日本M&Aセンター 業界再編部 調剤薬局専門チーム シニアディールマネージャー 山本夢人】
2015年5月に行われた経済財政諮問会議で、当時の厚生労働相であった塩崎恭久氏が「5万7000軒の薬局全てを残すわけではない」と、医薬品使用の適正化のために薬局の在り方を見直す発言をしたことが思い起こされるが、17年度末時点の薬局数は、ふたを開けてみれば5万9138軒とわずかに増加する結果となっている。純粋な処方元の開業による新規開局もあれば、昨今の薬価差の厳しさから、処方元が院内から院外へという動きもあっただろう。
しかし、薬局は日本の拠点ビジネスの限界である6万拠点に近づいていて、ほぼピークに達していると言って間違いないだろう。18年度の診療報酬改定により、国は「立地から機能重視へ」というメッセージを明確に打ち立てた。そのメッセージを受けて、さまざまな企業が変化しなければいけない時代が到来している。
薬局経営において、全ての企業が理想像として掲げている“患者や地域に求められる薬局”となるために、さまざまな企業がどのような動きをしているのか、昨今のM&A動向を含めて2回に分けてお伝えしたいと思う。
■えり好みの色が強くなった大手薬局チェーン
大手企業は年々、店舗数の順位が目まぐるしく変動しており、各社市場シェアにはとても敏感になっている。市場シェアを増やすために引き続きM&Aが利用されているのは同じであるが、その方針などに変化が見られる。これまで大手企業はM&Aの意欲が旺盛で、1店舗企業から大型企業までを譲り受けの対象として積極的に検討してきた。
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