【株式会社日本M&Aセンター 医療介護支援部 シニアディールマネージャー 森山 智樹】
■医療業界は本当に生き残りを懸けた時代へ
団塊の世代全員が75歳を迎え、医療や介護などの社会保障費の急増が懸念される2025年問題。この問題に対応することを念頭に18年4月、医療・介護分野における3つの重要な計画のスタートならびに医療・介護報酬のダブル改定が実施されました。
3つの計画とは、「第7次医療計画」「第3期医療費適正化計画」「第7期介護保険事業計画」です。ダブル改定と併せて、給付と負担のバランスを図りつつ、シームレスな医療・介護の提供体制を構築することを目指しています。二次医療圏単位で策定される地域医療構想の実現や地域包括ケアシステムの整備に向け、医療機能の分化・連携や在宅医療を推進する方向性を打ち出しているのが特徴です。
こうした政策的な動きは医業経営に大きな影響を及ぼしており、病院機能で急性期を減らして回復期を増やすとか、在宅医療への参入だとか、医療機関は今後の戦略について大きな選択を迫られています。患者を獲得し、生き残っていくための一手としてM&Aを検討する医療機関も増えてきました。18年以降は医療業界の再編が加速するとの声も多く聞かれるようになっていて、本当に生き残りを懸けた時代を迎えています。
診療報酬改定の影響も大いにあります。18年4月の改定では、全体で見ると大きなマイナスにはなりませんでしたが、構造は今後も大きく変化していくことが予測されます。18年4月の改定は、「成果・結果」が求められるアウトカム評価型と言えます。結果を出した医療機関には、点数を厚く加算し、結果を出せない医療機関は減算されるというシンプルなものです。
「世間が求めている医療のトレンドを読み解き、地域から選ばれ、結果を出す」。まさに株式会社と一緒で「結果にコミット」しなければなりません。これからは、どんな医療機関であっても、株式会社に近い経営戦略を実行していかなければならない時代に突入しています。
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