112億円の一般会計繰入金があっても55億円の純損失を出している―。埼玉県立4病院の経営について、有識者の検討委員会は、赤字で自己資本比率が低下していることを問題視し、「県立病院の経営形態は地方独立行政法人が望ましい」とする報告書をまとめ、13日に県に提出した。これを受けて県は同日、県民から意見の募集を始めた。27日まで意見を受け付け、今後の病院運営の参考にしたい考えだ。【新井哉】
■赤字で自己資本比率が低下、「診療に悪影響」 (残り475字 / 全1085字)
報告書では、▽精神医療センター(伊那町、183床)▽がんセンター(同、503床)▽小児医療センター(さいたま市中央区、316床)▽循環器・呼吸器病センター(熊谷市、343床)―の県立4病院の経営や医師確保などの課題を取り上げ、「望まれる経営形態」を示した。
経営の課題については、2017年度の県病院事業会計損益計算書に触れ、112億円の一般会計繰入金があることを指摘。「それでもなお55億円の純損失となっており、ここ数年の赤字により自己資本比率が低下している」とした上で、今後も資本の減少が続いた場合、「医療機器の更新が十分に行えなくなるなど、診療に悪影響を及ぼす可能性がある」と危機感を示した。
こうした状況を踏まえ、経常収支の均衡を図るため、収益を増やすことを求めた。具体的には「病院の収益に最も寄与するのは医師であり、医師確保を十分に行うことで収益増加が見込める」といった方向性を示した。
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