【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
厚生労働省は、9月28日付で「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」※を発出した。
これはいわゆる混合介護のルールを明確にしたものだが、「混合介護の解禁」と表現するのは間違っている。なぜなら、これまでも介護保険の指定事業所が保険給付サービスに組み合わせる形で保険外サービスを提供し、契約で定めた保険外利用料金を徴収することは認められていた。今回は混合介護の適用範囲を広げるため、ルールを明確化したものであり、例えば利用者の送迎など「運送」に伴う部分では、厚労省と国土交通省の考えをすり合わせた上で、新たなルールも示している。資料を確認していただきたい。
※日本慢性期医療協会サイトを参照
「混合介護」のルール緩和、通知を整理【訪問介護】
「混合介護」のルール緩和、通知を整理【通所介護】
「混合介護」のルール緩和、通知を整理【道路運送法上の取り扱い】
■保険外サービスとの組み合わせで労働時間は増える
今回新たに提供可能な事例とルールが示されたことで、混合介護が広く多様に展開できることになった。訪問介護では、保険給付サービスの前後および、サービスを中断した上で、保険外サービスを別に提供することが可能とされたほか、同居家族の部屋の掃除や買い物を行うことも認められた。
通所介護では、サービスをいったん中断して行える行為が、これまで理美容サービスと併設医療機関への急病の際の受診に限られていた。今回からは、通所介護を中断して行うことができる保険外サービスが、「巡回健診等」(健康診断、予防接種もしくは採血など)に拡大されたほか、通所介護サービスの途中で、個人の希望で外出したり、物販・移動販売やレンタルサービスの提供でも別途保険外費用を請求することが認められた。さらにサービス提供と同時進行で、通所介護の職員が買い物等代行サービスを行えるようになった。
これらは訪問介護と通所介護に限定された取り扱いではなく、他の訪問サービス事業と通所サービス事業にも適用されるが、事業者にとってどのような意味があるのだろうか。
保険外収入を得られる方法の増加は、そのまま事業者の経営にもプラスとなるのだろうか。
僕はどうも、そうは思えないのである。
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次回配信は11月29日5:00の予定です
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