財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の財政制度分科会が9日に開いた会合で、財務省は、各都道府県の地域医療構想を達成するため、病床を削減する病院への支援策を検討するよう新たに主張した。これは、政府が6月に閣議決定した骨太方針2018の「新経済・財政再生計画」を踏まえたもの。ただ、新たな支援策の具体的な枠組みや、それをどこで、いつまでに話し合うのかはまだ見えない。【兼松昭夫】
■議論のスケジュールは年末の改革工程表に
財務省がこの日出した医療関連の提案は、「かかりつけ医」以外の外来を受診した際の定額負担や、高額な医療機器の整備をコントロールする仕組みの導入など計17項目。病床削減(ダウンサイジング)への支援策は、2025年をにらみ各都道府県が策定した地域医療構想の達成と、診療報酬上の対応に関する2つをまたぐものだ。
このうち地域医療構想に関して財務省は、地域医療介護総合確保基金が創設される前に国庫補助で行われてきた事業相当額を優先して配分調整する方針になっているため、「病床の機能分化・連携を達成する観点が十分には反映されていない」と指摘した。その上で、基金の創設前から行われているかどうかにかかわらず配分を調整することや、基金の対象になっている医療機関の施設整備事業の効果を検証して病床のダウンサイジングを促すための追加的な支援策を検討することを求めている。
また、診療報酬に関しては、18年度に新設された「急性期一般入院料1」などの要件を、次の報酬改定で必要に応じてさらに厳しくすべきだと主張した。
18年度の診療報酬改定では、従来の7対1入院基本料など「急性期医療」への評価体系が抜本的に見直された。厚生労働省によると、これは地域の医療ニーズに見合った体制を整備し、将来的なニーズの変化にも柔軟に対応しやすくするためだったが、財務省側は今回、急性期の入院医療費がそれによって「どの程度効率化されるのかは明らかではない」と指摘している。同省はその上で、病床再編や急性期の入院医療費の削減にそれがどれだけつながったのかを成果目標(KPI)でチェックすることを求めた。
こうした提案は、骨太方針2018に盛り込まれた新たな経済・財政再生計画がベースだ。この計画では、病床機能の転換や介護医療院への移行などが着実に進むよう、地域医療介護総合確保基金や診療報酬の見直しによるコストや効果を検証して必要な対応を検討するとともに、「病床のダウンサイジング支援の追加的方策を検討する」とされた。
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