2019年度の厚生労働省障害保健福祉部関連の予算概算要求では、アルコール健康障害やギャンブルなどの依存症対策に注力する方向性を鮮明にしている。「依存症対策の推進」の項目については、前年度比2億円増の8億1000万円を求めており、依存症専門医療機関の認知度の向上を図るため、普及啓発に関する新規事業を行う方針だ。【新井哉】
■民間団体の支援員招いた院内ミーティング拡充も
16年5月に閣議決定された「アルコール健康障害対策推進基本計画」では、アルコールの健康障害に関する予防から治療・相談まで「切れ目のない支援体制」の整備の必要性を挙げ、アルコール依存症の治療拠点となる専門医療機関の整備を求めていた。これを受け、厚労省は依存症対策総合支援事業の実施要綱を策定。現在、都道府県と政令指定都市で依存症の専門医療機関とその連携拠点となる拠点機関の選定作業が進められている。
実施要綱によると都道府県は、依存症の専門医療機関を選定し、その中から治療拠点を選ぶ。専門医療機関が対象とする依存症については、▽アルコール健康障害▽薬物依存症▽ギャンブル依存症―を提示。「全ての対象の依存症について治療を行っていない場合であっても依存症専門医療機関として選定して差支えない」としており、例えばアルコールだけを専門としていた医療機関も都道府県の裁量で選べるようにしていた。
この実施要綱に基づいて拠点機関と専門医療機関の選定を終え、患者の受け入れ体制を整えた都道府県では、依存症の人やその家族らへの周知を始める段階となっている。こうした状況などを踏まえ、厚労省は「新たに専門医療機関の認知度向上のための普及啓発等事業を実施する」としている。
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