【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
介護事業の経営における最大のリスクは、事業を支える人材がいなくなることだ。介護事業経営者がどれほど有能だとしても、収益を上げるための素晴らしい経営戦略を持っていたとしても、適切な人を確保し、必要な人材を定着させて事業運営していく方策や見込みがない限り、その経営者は常に経営危機にさらされているといっても過言ではない。
では、どのようにして人材を確保し、定着させればいいのか―。1つの事業所で10年以上勤続する介護福祉士に月額平均8万円程度の賃上げを行う「政府パッケージ」が、2019年10月以降実施された場合、それは介護人材の確保策として一定の効果が出るだろう。
しかし、その施策は運用面で不透明な部分が残されており、確実にどうなるかを現時点で予測することは不可能だ。そして、仮にその方策が実現したとしても、それだけで介護労働者の数が劇的に増加するとは考えられず、介護事業者が抱える人員不足の問題が解決することにはならない。
それほど、日本の生産年齢人口の減少は深刻で、さらに夜勤を伴う肉体労働に対応できる体力のある人材が、ますます少なくなっていくのは確実だ。
■人材確保には発想の転換が必要
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