医療機関が自治体の若年性認知症対策に協力する動きが広がっている。早期受診・診断の後押しにつながる若年性認知症の相談業務に関しては、医療機関に支援コーディネーターを置くケースが少なくなく、特に患者が多いとみられる都市部の自治体で目立っている。公立病院に専門外来を開設したケースもあり、今後、自治体と医療機関が連携した若年性認知症の対策が加速しそうだ。【新井哉】
■「必要なサービスを受けるまでに時間がかかる」
18-64歳で発症した認知症については、若年性認知症と位置付けられており、厚生労働省によると、全国で推計約3万8000人(18-64歳人口10万人当たり47.6人)いるとされている。患者や雇用主が症状や支援制度を十分理解していない場合、仕事ができるにもかかわらず退職を余儀なくされたり、医療機関を受診せずに症状が悪化したりするケースも少なくない。そのため、受け皿となる医療機関や自治体、地域包括支援センターなどによる相談・支援体制の拡充が求められている。
自治体が特に注力しているのが、若年性認知症の人や家族から相談を受けたり、支援に携わる関係者の連携を調整したりする支援コーディネーターの配置だ。
「受診が遅れ、必要なサービスを受けるまでに時間がかかることが多い」。神奈川県は医療計画(2018-23年度)で、若年性認知症の初期症状が認知症特有のものでなく、診断が難しいことなどを指摘。普及啓発を進め、早期診断・早期対応につなげる重要性を挙げている。
同県は4月1日、国立病院機構久里浜医療センター(横須賀市)に支援コーディネーターを配置した。横浜市総合保健医療センター診療所(港北区)と曽我病院(小田原市)には支援コーディネーターを配置済みで、今回の配置は県内3カ所目。かかりつけ医や行政機関、勤務先との情報共有や支援に関する相談などに応じる。
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