医用テレメーターや無線LANなどで多くのトラブルが発生している―。総務省は7月に公表した情報通信白書(2018年版)で、医療機関の電波利用について、「不具合事例」の収集を行っていることを明らかにした。近隣の病院の心電図波形が表示されたケースもあり、同省は医療機関の電波利活用に関する「ヒヤリハット」の事例をまとめ、注意喚起に懸命だ。トラブルの解決策はあるのか。【新井哉】
■電波管理の不備で混信や干渉も
数百メートル離れた施設の患者の心電図波形が表示されるといった医用テレメーターに関する不具合の報告が絶えない。こうしたトラブルが原因で患者が死亡した場合、医療機関の信用は失墜し、外来・入院患者が激減する恐れもある。他の医療機関に原因があったとしても、「対策を十分取っていなかった」と患者やその家族から責任を追及されかねないため、注意が必要だ。
このようなトラブルは、なぜ発生するのか。医療機関内では、心電図の波形などを伝送可能な小型機器などの電波を利用する機器の普及に加え、患者やその家族らが携帯電話やスマートフォンを利用する機会が増えている。しかし、電波管理が適正に行われていない場合、混信や干渉などで医療機器に不具合が生じる恐れがある。
白書では、電波の利用拡大に伴い、▽医用テレメーターの受信不良▽不適切な無線LANの設定▽携帯電話による医療機器への影響―といったトラブルが増えていることを指摘。こうした状況を改善するため、医療機関の電波利用に関する手引きの周知を図り、医療従事者が適切に電波利用機器を取り扱えるよう支援を行っていく必要性を挙げている。
■死亡患者の心電図波形表示トラブルの原因は…
「ヒヤリハット」の事例は、総務省総合通信局が主催する「医療機関における電波利用推進協議会」の活動の一環として取りまとめられたもので、医用テレメーターや無線LANなどの不具合について、事例の内容や背景・要因、具体的な解決方法などを記載している。
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